2019/04/12
個人事業や不動産投資で赤字が出てしまったことはありませんか?
そんな時は損益通算や繰越控除を使うと税金が安くなる可能性があります。
目次
1.損益通算とは
不動産所得、事業所得、譲渡所得、山林所得の計算をした際に出てしまった赤字を、2.の順序通りに他の所得から控除するものです。
2.損益通算の対象となる所得、その順序
(1)対象となる所得
・不動産所得
・事業所得
・譲渡所得
・山林所得
※利子所得及び退職所得は、赤字となることがありませんので対象となりません。
※配当所得、給与所得、一時所得及び雑所得は赤字となることがありますが、損益通算の対象となりません。
(2)(1)の所得のうち損益通算の対象から外れるもの
①不動産所得の赤字のうち、土地等の取得にかかる借入金利子(返済利息)等は損益通算の対象となりません。
②譲渡所得の赤字のうち、土地建物・株式の譲渡等一定の譲渡の赤字は上記所得との損益通算の対象にならず、下記の特殊な損益通算の対象となります。
③生活に通常で必要でない資産にかかる所得の金額の計算上生じた赤字は、一定のものを除いて損益通算の対象となりません。
なお、生活に通常必要でない資産とは下記の通りです。
・競走馬、その他射こう的行為の手段となる資産
・主として趣味、娯楽、保養又は鑑賞の目的で所有する不動産
・主として趣味、娯楽、保養又は鑑賞の目的で所有する不動産以外の資産(ゴルフ会員権等)
・生活の様に供する動産で、1個又は1組の価額が30万円を超える貴金属、書画、骨董等
(3)損益通算の順序
①所得を経常的に発生する所得(以下「経常発生グループ」といいます)と臨時的に発生する所得(以下「臨時発生グループ」といいます)に分け、それぞれのグループで損益通算を行います。
※経常発生グループは、不動産所得、事業所得、利子所得、配当所得、給与所得、雑所得をいいます。
※臨時発生グループは、一時所得、譲渡所得をいいます。
②経常発生グループ、臨時発生グループで損益通算を行います。
3.損益通算をしても赤字が残る場合に使える繰越控除
損益通算をして赤字を他の所得と通算をしても赤字が残る場合には、提出した年の翌年から3年間その赤字を繰越すことができます。
ただし、下記の要件を満たしている必要があります。
・青色申告の承認を受けていること
・損益通算をした年の青色申告書を提出期限(原則は3月15まで)に提出していること
・損益通算をした年の翌年以降も確定申告書を提出していること。
※損益通算をした翌年以降の確定申告は提出していれば青色申告書でなくても対象となります。
4.例題
(1)損失が生じたが他の所得と相殺しきれない場合
①給与所得 1,000万円
②事業所得 -500万円
③①+②=500万円 が所得税の対象となる所得となります。
(2)損失が生じて他の所得と相殺しきれない場合
①給与所得 500万円
②事業所得 -600万円
③雑所得 -50万円(雑所得は損益通算の対象とならないため合算するときは0円となる)
④①+②+③(0円)=-100万円
⑤繰越 -100万円(翌年以降の所得と相殺)
コメント
[…] と損益通算することはできません。 […]
by ソーシャルレンディングで損失が生じた場合の所得税の取扱い | 山田税理士事務所 2019年4月10日 8:46 AM
[…] 損益通算はこちらの記事を参考にしてください。 […]
by 税理士が教える、サラリーマンがやると損する節税。 | 山田税理士事務所 2019年5月21日 1:37 PM